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守る会紹介
センターについて
藤前干潟について
藤前干潟現状報告  2005年12月2日
● 2005年3月27日、藤前干潟の保全と活用のための環境省施設、稲永ビジターセンターと藤前活動センターがオープンし、ゴミ埋立計画の中止から6年、やっと長年の念願が形になった。たくさんの課題はあるが、ともかくも私たちがめざす三つの目標:

1. 藤前干潟の魅力と本質を伝える
2. ゆたかな伊勢湾をとりもどす
3. 持続的に生存可能な社会を創る に取り組んでゆく足場ができたといえる。

NPO法人藤前干潟を守る会としても、環境省や名古屋市と連携協力してやっていくために、不十分な条件ながら、両施設の管理運営業務を請け負い、養成してきたガタレンジャーを中心に、あらたに体感学習ガイドや干潟探検隊などの充実展開を図っている。
● また、施設の運用、活用だけでなく、保全や修復などの課題を共有し、解決していく場として、「藤前干潟協議会」が発足した。行政からの「通達」、「諮問」、「委嘱」のトップダウンではなく、市民からの「自発活動」、「参画」、「提案」を行政が支援するボトムアップを基調として、関係主体それぞれの持ち味と能力を「持ち寄って」進めることをめざしている。そこでは藤前干潟とつながる源流の森と流域環境、伊勢・三河湾までを視野において、いのちと市民の視点から広域的長期的な連携活動を進めたいと考えている。ご協力をお願いします。(協議会規約と協議事項を参照ください)
● 経緯

1950年代に始まる高度経済成長と臨海工業開発用地造成のために、伊勢湾奥部の干潟・浅海域8000haは、4000haの浚渫埋立地と深い水路に変えられた。伊勢湾台風(1959)後に高潮防波堤がつくられ、1964年から西部の臨海工業用地が造成され、木曾岬の農地干拓(444ha) も行われた。これらの開発により、渡り鳥は生息地を追われて、好運にも残っていた藤前干潟に集中し、シギ・チドリの日本最大級の渡来地になった。

1964年の港湾計画西1区(105ha)は、海面下土地問題で具体化できず20年放置されていたが、1984年に名古屋市のゴミ埋立場とする計画(1990年から10年間)が発表され、以来「渡り鳥の最後の渡来地を守ろう、ゴミ行政を根本から改め、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会を変えよう」を合言葉に15年に及ぶ市民活動が展開された。

当初計画を46.5haに縮小して始まったアセスメント(1994-98)準備書では、「影響は小さい」としていたが、市民自らの科学的調査で「影響は明らか」(市の審議会答申)に変わり、諫早の『ギロチン』に憤った世論の包囲網が、環境庁の「人工干潟」否定見解を出すところとなって、1999年1月、埋立申請手続きの最終段階でゴミ埋立計画が中止された。
● この英断=埋立断念によって、その時点で残る最終処分場の容積が2年半となった名古屋市は「非常事態宣言」を出し、2年で2割減の緊急減量目標を設定して、企業系ゴミの有料化や、容器リサイクル法にもとづく資源化分別収集などのかってない努力を始めた。

● 本気になった市の努力を好感した市民は、「干潟を守った以上ゴミを減らさにゃ」と自発的な取り組みで応え、見事に目標を超え埋立ゴミは半減させた。これで、最終処分場が15年以上もつ目途がつき、断念当時あった、木曽川河口部に愛知県下の3分の2の自治体が参加する「広域処分場」という代替構想も、「藤前の英断」が帳消しになると続けた強い反対要請で、市長第2の英断:「もう海は埋めない」によって断念された。
●2002年11月、藤前干潟はラムサール登録地に指定された。(保護区770ha、登録地323ha、日本で12番目、世界で1200番目)

念願の恒久保全の枠組はできたが、まだ課題は多く、決して最終ゴールとはいえない。むしろ登録は持続可能な社会の実現や、伊勢湾の環境復元への出発点、決意表明ととらえたい。

しかし、干潟の機能維持に水質面からの脅威もある。2003年7月ラムサール登録地に接する庄内川河口部に将来現状の4倍の排水量となる名古屋市の下水汚泥焼却場建設事業のアセスメント手続きが告知された。現状でも貧酸素水塊の問題がある上に、名古屋市220万人口の全ての下水処理をここでやったらどうなるのか?

有機物の塊である下水汚泥の堆肥化など、脱焼却の可能性が当然検討されて良いし、大規模集結式の下水処理を個別分散型にかえるなど、将来の目標を明確にして、都市の衛生問題と環境問題を
見直す契機にしたい。

● 残された課題

1. シギ・チドリ渡来数の減少と貧酸素水塊問題
全国的な減少傾向が見られるハマシギだが、藤前干潟への今年の冬と春の渡来数は例年の半分以下と激減した。2年前の東海豪雨の影響や、再発防止の川床浚渫事業の影響、藤前干潟の中央部にある窪地にできる貧酸素水塊の影響が懸念されている。
窪地は150mx300m、深さ5-7mで、伊勢湾台風後の堤防復旧のための土砂採取跡で、夏場、2m以下は貧酸素となり秋口の大風で引き出されてアナジャコやゴカイの大量死を招く。東海豪雨対策の新川浚渫事業による河口浚渫の影響をモニタリングする「庄内川・新川河口干潟調査会」ができたのを契機に、この問題を提起し、1年間の現状調査で埋め戻しを提言し、実行された。
しかし、必要な土砂が工事期間内に確保できなかったため−3mまでしか埋め戻されず、その効果は、2005年夏場に再度モニタリング調査を行なって、確認されたが、やはり重分ではなかった。

一方、この調査の過程で名古屋港内も貧酸素状態になることや伊勢湾、三河湾の底層部でも5-9月に、生物が生きられない貧酸素状態になっていることが判明した。昨年夏に実施された「海の健康診断」(伊勢・三河湾流域ネットワーク主催)と同時期におこなわれた藤前干潟における面的な調査では、河口部から数キロ上流にまで貧酸素水が押し寄せることも判明した。 
 
調査は、そんな状況にも耐えている干潟の持つ力やはたらきの重要性を示唆しているが、同時に、名古屋港や伊勢湾全体の深いところに貧酸素水塊があることが推定され、放置してはおけない状況にあることをも示した。今後、早急にその対策、が検討されなければならない。

赤:0−2ppm  生物死滅  黄:3−4ppm、 青:5+ppm
辻淳夫@藤前干潟を守る会 www.fujimae.org , atsuo_t@yk.commufa.jp