藤前干潟を守る会のあたらしい出発

藤前干潟を守る会は、2003年7月:特定非営利活動促進法に定める法人格(いわゆるNPO法人)を取得しました。


藤前干潟を守る会は、これまで藤前干潟の魅力と価値を広く伝え、ゴミ埋立計画を断念させ、名古屋市のゴミ行政に画期的転換の契機をつくり、内外の環境保全に大きな影響を与えてきました。(第1回「明日への環境賞」受賞などで評価)それは、 干潟をゴミ埋立から守るために、 「ヒマでも、チエでも、お金でも」を合言葉に、超党派、全方位の、自発的でしなやかな運動を創り出してきた市民活動だったのです。私たちは、この精神と実績を活かし、私たちがめざす究極の目標に向けて発展的な活動を展開するために、「法人格」をとったのです。NGO(非政府組織)から、NPO(非営利組織)に変るのではありません。私たちは、元々、その両面の特徴をもつ市民活動体であり、その長所と個性を活かしつつ、あたらしい市民社会のあるべき姿をもめざした、People’s Organization for a New Government and Society(新しい政治・社会のあり方をめざす、市民の組織体)でありつづけたいと考えています。
2002年11月、藤前干潟がラムサール条約登録地に指定されました。

それは、渡り鳥の渡来地である干潟の恒久保全をめざしてきた私たちの重要な目標でした。しかし、これで終わったわけではありません。これは、私たちがめざす、最終ゴールへのあらたな出発点であり、跳躍台だと考えています。私たちは、子子孫孫がこの地球で心ゆたかに、持続的に暮らしてゆける社会をめざして、 共感を広げ、力を合わせて、

 1.藤前干潟の魅力と本質を伝えます

四季折々の渡り鳥との出会い、鳥の餌となるゆたかな干潟の生きものたち、いのちのつながりは海の恵みとなって、私たち、人の暮らしも支えています。


潮の満ち引きで宇宙のめぐりと、地球の仲間とともに生きる楽しさを感じながら、子どもたちの「センス・オブ・ワンダー」を育てます。


毎月の干潟探険隊や、春秋の生きものまつり、随時の現地案内、野外学習、出前授業、広範な話題の藤前フォーラムなどを開きます。

「一触百見」の干潟体験の中で、!(びっくり)と?(はてな)探しをしながら、いのちの輝きを伝えるガタレンジャーはそのリーダーです。

 2.山から海まで、ゆたかな伊勢湾を取り戻します

藤前干潟は、伊勢湾という母なる海の生命を産み出すところです。しかしそれは源流の森からの養分に支えられ、伊勢湾につながる全ての水系とつながっています。伊勢湾流域圏の人々とともに、環境復元をめざしこの土地のゆたかさを取り戻します。

 3.社会やくらしのあり方を見つめ、「ゴミゼロ」社会を創ります

こんなに大切な干潟を、自分たちの出すゴミで埋めようとしたのを、私たちは忘れません。藤前が、「使い捨て社会」の行き詰まりを教えてくれたのです。幸い、藤前を守ることからゴミ問題に大きな転機をつくることができましたが、循環型社会への挑戦、本番はこれからです。 

干潟とのふれあいから、私たち自身の暮らしや社会のあり方が見えてきます。ものに溢れた現代文明と、一見ゆたかな都市型生活の影で、自然は壊され、汚れ、ゴミで溢れています。それは、私たちの生存基盤が失われつつあることであり、人々の心をひずみとなっているようです。今こそ、ゴミで環境を壊さない社会を創るために、自分の生き方を見つめなおし、シンプルライフとスローライフを考えましょう。

●市民のハートウェアで


これから藤前には、ビジターセンターなどの施設(ハードウェア)ができ、レンジャーが常駐して環境学習プログラムなど(ソフトウェア)が用意されるでしょう。しかし、そうしたものに魂を入れるもの、その運用と活動を支え、訪れた人々を温かくもてなし、熱い志を語り伝えるのは、市民の自発的なこころ(ハートウェア)だと思います。


藤前を守ったのは市民の力です。


目先の利害や自分の立場にとらわれず、その地に生きて、その地を愛し、子や孫の行く末を案じる普通の市民、人として他の生命を思いやれる人間が、私たちの今いるところをしっかり見極め、めざすべきところへの道のり:将来ビジョンをもてるのです。
未来社会は市民が主役です。


あなたも、そんな未来をつくってゆくなかまのひとりになってください。

――― 特定非営利活動法人 藤前干潟を守る会 名誉理事長 辻 淳夫